
上層が円形で下層が方形で構成される2層の塔を多宝塔という。仏教伝来ルートの中国や
朝鮮半島には、その形態はなく、日本で創始された様式とされている。
埼玉県内には、4基の多宝塔がある。
〇金鎖(かねさな)神社 多宝塔 神川町二ノ宮 <国 重要文化財>
室町時代後期1534年 杮葺き 高さ13.5m
杮葺き、上下重の組物など一般的多宝塔の
特徴を有するが、亀腹(上下重を繋ぐ部分)が
特徴的で板張り(写真では見えないが…)となっ
ている。
心柱に墨書銘があり建築時期がはっきりしている。
この多宝塔については、神仏習合思想に基づ
き神社に連携して営まれた別当寺(道路へだる
「大光普照寺」)の仏教施設として建立されたと
思われる。
明治元年の「神仏分離令」により「神社」と「寺」
が分離され、その後、神社昇格運動などを経て明
治23年金鎖神社に移管されたとの記録がある。
この塔の位置・場所から、同神社に属するのが妥当であると判断されたようである。
この金鎖神社には本殿がなく、ご神体として後方の「御嶽山」を「神奈備」(かるなび)として祀ってい
る。そうした神体山を祀る形態の神社の一例として、奈良、大神(おおみわ)神社と「三輪山」がある。
〇喜多院 多宝塔 川越市小仙波町 <県 有形文化財

江戸時代初期1639年築 本瓦葺き 高さ13m
現在地に位置するまでに2度の移築がされ、1973年(昭和48年)、
現在の場所に移転にあわせ解体修理された。
喜多院境内には、1632年建立の山門、1638年の大火後、江戸城
から移築された家光誕生の間(客殿)および春日局の間(書院)、そ
の後再建された慈眼堂、鐘楼門などの建造物のほか、職人尽絵(レ
プリカ鑑賞可)、銘友成太刀(特別展示会にて鑑賞可)、銅鐘などの
工芸品が国 重要文化財となっている。
〇狭山不動尊 多宝塔第一塔(東塔) 所沢市山口 <県 有形文化財>
1607年築 本瓦葺き 高さ14.1m
大阪府高槻市・畑山神社から1961年(昭和36年)移築したものである。
第一塔は県の文化財目録では、所有者は西武鉄道となっている。
〇狭山不動尊 多宝塔第二塔(西塔) 所沢市山口
室町時代中期1435年築 本瓦葺き 高さ約13m
兵庫県東條町・椅鹿寺から1964年(昭和39年)移築したもので
ある。
狭山不動尊の正式名称は「狭山山不動寺」であり、1950年(昭
和25年)に開山し、本堂は2001年(平成13年)12月に建立された。
1951年(昭和26年)西武鉄道によって開園されたユネスコ村の
一翼を担っていたと思われる。
この寺の境内にある「勅額門」「御成門」「丁子門」は国指定重要文化財であり、またいずれも都
内の徳川家に関係する寺院にあったものを当地に移転したものである。