健友俳壇  第12回 (令和2年1月)

健友俳壇は、会員の皆様が気軽に参加できる事業として、平成26年7月号から掲載が始まり、今回で12回目となりました。一般の句と健友旅の句に分けて選句と講評をさせていただきました。

一般の句

●特選(三句)

◎ 冬の夜 祖母左手で 縫いものす  日野原 志津江

「祖母左手で」という、中七句でその場の景がよく見え作者の祖母へのやさしさ感じられます。季語の「冬の夜」がよく効いているいい句です。

 母見舞う 帰りの路の  雪しぐれ    高橋 洋子

 母を心配する作者のやさしさが季語の「雪しぐれ」でよく表れているいい句です。

  孫遊ぶ 笑いが温い 小春かな     田村 弘治

ほっとするいい句ですね「笑いが温い」が下五句の「小春かな」によく効いています。

●入選(二句)

◎ 冴ゆる夜 鉄橋わたる 新幹線    矢部 登喜子
この句は作者が新幹線に乗っているのか、外から鉄橋を渡る新幹線を見ているのかどっちでしょう。どちらにしても「冴ゆる夜」の上五句がいいですね。

薪の香や 縄文土偶の  里に雪     山田 常雄
いい句です。下五句の「里に雪」を「雪の里」にされた方が更によくなります。

健友旅の句

●特選(四句)

花野風 山毛欅楓たち 黄金撤け     山田 常雄

「花野風」と「黄金撤け」がよく効いています。大きな景がよく見えるいい句です。

月寒し 四万の渓谷 なほ白し       茂木 良一

「月寒し」と「なほ白し」がよく効いて、全景が目に浮かぶいい句です。

九十九折り 紅葉の移ろい 追いかけぬ 日向 日出子

このままでいい句です。「紅葉の移ろい 追いかけぬ」がとてもいいと思います。

清流に 錦織りたる もみじかな     瀬川 恵美

川が清流だったから「錦織りたる もみじかな」がよく効いているいい句です。

●入選(五句)
◎ 秋晴れに 健友つどう 四万の旅   青山 幹子
健友同士、和気あいあいの楽しい旅と、四万温泉の良さがよく分かります。

◎ 旅の空  湖畔の風に 落葉舞う     田中 範行
少し哀愁を感じるいい句です。「湖畔の風に 落葉舞う」がいいです。

露天風呂 みんなで歌う 萩の月    小城 恭子
露天風呂で、みんなで「ふるさと」などを歌い、見上げたら秋の月がこうこうと輝いていた。さぞ、気持ちが良かったでしょうね。

秋の風 乾いて舞う葉 足の裏     古賀 のり子
秋風で舞い散った枯れ葉を踏み歩き、その感覚を足の裏で十分感じたと思います。

空真青 山紅葉映る 四万の里      大境 登志子
この句は景がよく見え、私も「四万の里」で日々温泉に浸かりたいと感じました。

投稿の句

一 般(二句)          
凍て空に 素手で自転車 指しびれ  島田 あい        

聖し夜の 矩形の天に 星と月    武居 正次

健友旅(六句)
秋晴れの 車窓の彼方 紅き峰   日向 義博

雲場池 英気養う 山紅葉       田村 弘治

雲場池 地面に映る あかきいろ  山田 博

錦秋路 友と旅する 四万の宿  金井 信男

雲場池 落葉は水面に 青波紋  赤塚 きみ

ともに行く 落葉の道 日に映えて 宮川 修一

俳句を作るとき「さあ、やるぞ」とかまえて作るのではなく、日常の暮らしの中でふと感じたことを詠むようにしましょう。

俳人の正岡子規の句で「毎年よ 彼岸の入りに 寒いのは」という句があります。これは子規の母が何気なくいった言葉をそのまま句にしたものです。このように、はじめから難しく考えないで、日頃の暮らしの中の身の回りのことから感じたことを句にしてみましょう。

朝起きて、日差しがまぶしかったり、気持ちのいい日だったり、また雨がしとしと降って静かだったり、庭には花が咲いていたり、風が吹いて木々の葉が揺れていたり、通学の子供たちの声が聞こえたり、台所からパンの焼ける匂いがしたり、また外に出かけ散歩を楽しんだり、人と会話をしたり、そんなところから小さな感動を詠んでみましょう。 今井 弘雄 

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