健友俳壇 第13回 (令和2年7月)

今回は、健友旅行が中止のため、一般の句のみの選句と講評をさせていただきました。

特選(三句)

◎ 卒寿なり 吾の生き方や 夏の空 日野原 志津江

下五句の「夏の空」が効いています。私は、この「夏の空」は、すっきりした夕焼空とみました。

◎ 籠る日々 移ろいを知る 夏の雲 日向 日出子

籠る日々が、今流行している新型コロナウイルスで、家に籠る日々が続いていますが、そんなとき窓から空を見ると夏の雲が動いている。ふと希望が見えてくる景がいいです。

  茅花原 夕べの風は 白銀に    大境 登志子

中七句と下五句の「夕べの風は 白銀に」が、とても美しく奇麗です。茅の花が咲いている高原と、涼しい風になった夕べの風が、茅の花を白銀に仕立てている風景の表現がとても素晴らしいです。

入選(六句)

空見上げ 自粛に籠る 夏の夕   島田 あい
この句をみていると、今の新型コロナウイルスの夏を謡っているような気がします。でもこの句の下五句の「夏の夕」に希望が見えほっとします。

スカイツリー 揺らぐ川面や 夏の雲  矢部 登喜子
東京の人には、よく解る一幅の絵ですね。下五句の「夏の雲」がよく効いています

花も見ず 友にも会わず 八十八夜    武居 正次
この句は、世間のことをよく通じた方の句です。八十八夜は農家としては忙しくなる出発点です。こんなのんびりとした気分にはなりません。そのあたりがよく表現されています。

紫陽花に 光のこして 雨あがる     高橋 幹子
中七句の「光のこして」の表現がとてもいいです。紫陽花が美しく見えます。 

夏布団 ひょっこり顔出す 足の先   梅澤 輝男
寝ている内に、夏の暑さを感じ、知らない内に夏蒲団から足を出したというだけなのに、なんとなくユーモアを感じます。

慎ましく  大樹の陰に  シャクナゲや  日向 義博
ほんとうに、シャクナゲは山の常緑低木で、目立つ植物ではありませんが、花は紅紫の美しい色です。その花が大樹の陰に咲いていてほっとする風景です。

投稿の句(四句)        

西空に  黒き雲わき  雷の音    大塚 やい子 
一枚の絵を見ているようでよく解ります。下五句の「雷の音」がよく効いています。       

麦秋や  遥けし富士に  鳶の笛    山田 常雄
この句も秋空の富士山の大きな景に、鳶の鳴き声の組み合わせがいいです。

薫風に  切麻舞いて  地鎮祭      茂木 良一
中七句と下五句の「切麻舞いて」と「地鎮祭」が薫風に効いています。

夏草や  世は災いの  渦の中      高橋 洋子
災いは、夏草の渦の中である。表現がとても素晴らしいです。

今回の健友俳壇は、一般の句十三句の投稿となりました。講評にたいへん時間を要しました。これは、健友の皆様の俳句が上手になっていることを物語っています。これからも、「健友俳壇」を楽しみにしていますので、奮って投稿をして下さい。

およばずながら選者の句を一句

『我が不安 夏の夜空に 語りかけ』 今井 弘雄

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