保健相談所の思い出   川岸真知子

 40数年前、豊島病院神経科に勤め始めたころのことです。

上板橋保健相談所から精神保健相談の依頼がありました。

お目当ては医長でしたが、多忙ではない私が引き受けることになったのです。

 「何をすればいいのでしょうか」という私の問いに、「保健師さんに教えてもら

いなさい」と部長が答えたことを、今でも鮮明に覚えています。
 

 結核や乳児死亡改善の役割を果たした保健所が、新しく力を入れる事業で

したが、まだ手探りでもありました。

 そのうえ、私のような経験の浅い医者が担当することに、保健師さんたちの

不安はあったと思います。

まず、精神疾患の勉強会から始めて、所内相談や訪問に取り組みました。

困難ケースに悩みながらも、患者さんの生活や地域を肌で感じることができ

ました。保健師さんのサポートは心強く、まさに「教えてもらった」ことは、とて

も多かったのです。

 その数年後に、板橋区に入るとは想像だにせず。とにかく、それが今に続

く長いお付き合いの始まりだったのです。


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